2016年7月31日

酔ひの覚めてゆく冷蔵庫の光

「パブロフの犬」

 目の前にカセットテープがある。CDでもMDでもない。カセットテープ。
タイトルには「パブロフの犬」とある。
いったい何かというと、高校生の時、友人の高橋さんと二人で吹き込んだ自作自演の歌だ。
が、私達は、軽音部でもなかったし、歌手志望でもなかった。作曲なぞ無縁の二人だ。もちろん楽器も弾けるわけがないので、「パブロフの犬」の伴奏は、素人でも演奏ごっこができるゲームソフトを使用している。改めて聴くと、我ながら、素人丸出しの名曲だと自負できるのだが、果たして、あの頃、なぜ歌もどきなんぞ作って、わざわざ録音までしたのだろう。どうしても思い出せない。
 と、いう訳で、久しぶりに会った高橋さんに聞いてみた。
 高橋さんは覚えていた。
 二十年も前のことを、昨日のように語った。
 「あのね。二人で図書館に寄った時、どちらかが鼻歌を歌ったのね。そのフレーズがなんとなくいい感じだったから、これは絶対に録音しとくべきだ!ってなって、すぐ横にあったベンチに座って、あれこれ歌詞を考えたり、伴奏をどうするか話し合ったんだよ」
 そうだったのか!
 思い付きを、形にするのは、一番の娯楽。
 
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 スナックゆりこは年中無休。四方山話に花が咲く。
 いつでも手ぶらでおいでませ。