長く十年、濃く十年

2016.8.25 角川書店刊行

高橋睦郎句集『十年』より。

学生の頃の友だちの結婚式に行ってきました。滅多に行かないけれど、結婚式も良いもんだなと。ほとんどの友だちと十年振りに会って、友だちは、太ったり、子どもを産んだりして、みんな大人になっていました。

当たり前だけど、時間は流れて行くんだなぁと。

でも、まだ、僕はもうちょっと好きに生きて行こうかなとも思いました。

摺足に白進み来る初山河

ずいと。

跳ね跳ねて水色淡き春の雹

小さな星のような。

絲をもて吊らるるごとし人も花も

はるかより糸。

古鯉のおぼろおぼろと五百歳

好きな句。これも一つの神の姿か。

螢火の中をありくは泳ぐごと

夢のような。世界がスローに見えるような。

底紅や朝みづうみの疲れ波

昨日飲み過ぎたなぁと思いながら、見たい景。なんとなく心落ち着く。

啓蟄のけふ持上がれ墓の蓋

塚も動け。

縁側あり縁の下あり闇ぬくと

闇もまた古き住人。

賣り買ひにものの光や事始

ものが光り、心が光る。

ちりちりとめらめらと病む風鈴は

涼しいだけではない風鈴の姿を。

秋暑く罵りあへり老二人

人は哀しく面白い。

良い句集なので、次回もう一回やります。

じゃ

ばーい