2016.10.15ふらんす堂刊行
小津夜景句集『フラワーズ・カンフー』より
カープの黒田が投げる試合をテレビで観ていて、マウンドを降りる姿に涙が出ました。
そういえば、ある方から、俳人には光る時期というのがあって、ほとんどは一度、稀に二度三度光る時期が訪れる、というお話を伺ったことがある。
もし「光る時期」を自覚してしまったらと思うと、とんでもなく恐ろしい。例えば句集を10冊ぐらい出して、第一句集の話しかされないとか、あまりに残酷な話だなと。俳人だけでなく、歌人や画家、歌手や、もちろんスポーツでもこれは当てはまる。
怖い怖い、「光る時期」が一生来ないのも困るし、うーむ。
一生きらきらしないかもしれないけど、「鈍い光」を長ーく放てるような、そんな人になりたい。あと、長生きと。
ソフトバンクの松坂投手は何か魔球でも獲得して、もう一回、ぜひ頑張って欲しい。
小津夜景さんの句集『フラワーズ・カンフー』を読んでいきます。独特な世界と音が実に心地良いです。
ミモザちる千年人間(ミレネリアン)のなきがらへ
ミレネリアンへミモザちる。
うららかを捧げもつ手の手ぶらかな
「うららか」は見えないけど、ある。
春蟬を食(は)みてきよらでぐうたらで
これ好きです。食べて、では駄目で「食みて」が句を面白くしています。
ぷろぺらのぷるんぷるんと花の宵
これも好き。なんだか楽園のような、世界がぷるんぷるんしているような。
起こし絵を畳み帰らぬ人となる
中の人に。
龍淵に潜むドレスは頭から脱ぐ
私はドラゴン、ドレスを脱ぐわ。なんて台詞がちらつきました。違うんだけど。
誰が巻かむヴィデオテープよ秋の蝶
たまに絡まり。秋の蝶が穏やか。
オカリナに息を吹き込む神の旅
悪魔くんが持っているのは、「ソロモンの笛」。
面白い句集です、もう一回やります。
じゃ
ばーい