溺るるばかり蛇笏かな④

H.28.6.25 角川ソフィア文庫

『飯田蛇笏全句集』より

植物を育てると、僕みたいに世間知らずな人間には、へぇ、と驚くことがたくさんあります。

例えば、夏が過ぎ、秋が終わり、冬が来ても、ベランダの日日草がわさわさと元気です、他の花が駄目になっても、日日草だけはわさわさと咲き続けます。

へぇー、日日草って元気なんだな、と水をやりながら毎日関心しています。

知らないことがたくさんあることも楽しいもんです。

では蛇笏の四回目。

秋女酔ひ伏す枕抱きしめて

秋女の季語はもちろん秋。

芋喰ふや大口あいていとし妻

あーんとな。

夕ばえてかさなりあへり春の山

よき春の山、春の山。

わか竹や牝を追ふ鶏のいづこまで

そこに牝が居るから。

百鶏をはなてる神や落椿

結構放たれました。椿があざやか。

詩にすがるわが念力や月の秋

蛇笏の念力は強そう。間違いなく最強クラスの念力。

灯してさざめくごとき金魚かな

なんだなんだと。

胃ぶくろにすごもる虫や暮の秋

この句は馬の話だけど、もちろん人も。こわいこわい。

たましひのしづかにうつる菊見かな

しづかにうつるなら菊か。白菊、黄菊、どちらが良いだろうか。僕は黄色が好き。

雪国の日はあはあはし湖舟ゆく

あはあはと。

芋の露連山影を正うす

ごらん、世界は美しい。

変な句から歴史的な名句まで次々出てきます。ゆっくり読んでいきましょう。

じゃ

ばーい。