溺るるばかり蛇笏かな⑨

H.28.6.25 角川ソフィア文庫
『飯田蛇笏全句集』より。

食べ慣れたものを食べて同じ服を着ることが好きです。いつもの道、いつもの電車に乗ると安心します。

なので近道をするのは好きじゃないし、今日はいつもと違う店へ、というのも少しソワソワします。
多分同じことを繰り返すことが好きなんだろうなぁと。

蟹好きで蟹を食べ過ぎてアレルギーになった人を知っているので、食に関しては気をつけたいなぁと思います。

さ、蛇笏の続きです。

冬の蟇川にはなてば泳ぎけり

寒かろう、眠かろう、早く帰りたかろう。

空寒く土音のして牛蒡掘る

土音がリアル。

雨温く蛇に巻かるる雉子かな

雨温くがしっとりと不気味。

眼がみえぬ人の夜を澄む寒さかな

夜を感じる。「澄む」に工夫。

はたと合ふ眼の悩みある白日傘

言わないけれど。

虫ひとつ鳴きおとろふるこゑちぎれ

途切れではなく、ちぎれにあわれ。

凍光に放心の刻ペチカ燃ゆ

静かな、鋭い光。

山椒魚うごかず澄める夕しぐれ

太古の心。

夏雲群るこの峡中に死ぬるかな

有名句ですね。あぁ、と声のもれそうな句、蛇笏の覚悟のようなものが見える。

旅の風呂熱くて赫つと夕日影

風呂も夕日も赫っ。

名句や妙な句がもりもりあって、なかなか進みません。今日はこの辺で。

じゃ

ばーい