溺るるばかり蛇笏かな⑩

H.28.6.25 角川ソフィア文庫

『飯田蛇笏全句集』より

結婚後少なくなったけれど、たまには一人旅を、ということで出かけることもあります。

どこに行こうかと悩むのが結構楽しい。一人で行く場所の候補は「僕が行きたくて、妻が行きたくないところ」となります。

うーん、うーんと考えて出て来る答えはだいたい決まっていて、①城②墓③博物館あたりとなります。

悩んだ結果、一人小田原城後、北条氏政のお墓へ行ってきました。

北条氏政のお墓、駅のすぐ近くですのでオススメです、商店街の細い路地に、ぽつんとあるところが印象深いです。

では蛇笏の続きを。

腰縄の刀いかつくて鮑取

いかつい人のいかつい刀。

陶に似て窓のアルプス聖母祭

陶に似て、素敵な上五です。蛇笏の句集は言葉の使い方がとても勉強になります。

真つ赤なる涅槃日和の墓椿

あかあかと。

師を追うて春行楽の女づれ

うふふ、あははと。春らしく。

やはらかに月光のさす白薔薇

波のような光と、凛とした白薔薇と。

日輪にひびきてとべる薔薇の虫

薔薇の虫が、ぶーん。なんだろう、薔薇の虫。

風邪の子の餠のごとくに頬豊か

白く、少し赤い頬。

社会鍋守る娘にたれも惚れざりき

蛇笏全句集読む楽しみの「そんなこと言うなよ」俳句の一つ。作家の印象は名句だけ読んで決めつけてしまっては損で、やはり時間はかかるけれど全句を読んだ方が面白い。

次回より「白嶽」に入ります。

じゃ

ばーい