溺るるばかり蛇笏かな11

H.28.6.25 角川ソフィア文庫

『飯田蛇笏全句集』より

結構心配性です。健康診断の結果をみて、言ってしまえば尿酸値が高かっただけなんですが、病気についてあれやこれやと調べ、あぁこわい、病気がこわいと白湯をごくごく飲んでいます。ほうれん草、ワカメを好み、魚卵を悪魔のように避けています。

前に虫歯になって歯医者に通った時も、こわいこわい、病気がこわい、と怯えていました。

しかし、何はともあれ白湯は結構美味しいということがわかったことは良かったです。

では「白嶽」より。

花冷えや尼僧生活やや派手に

華やかな尼というのも美しい。

帰省子の気がやさしくて野菜とる

この子は気が優しくてね、と言わせてあげるのも親孝行。

石獣のほとりの草の萌えそむる

石獣もまた嬉しかろう。

韃靼は海もりあがり春の旅

もりもりしていてすごかった。浪漫がある。

死ぬばかりよきゆめをみてはつ鏡

ガバリと鏡へ。うむ、夢か…。

しなしなと吾子の手くびや夏を病む

しなしなが可哀想。蛇笏の視線がかなしい。

病あつく金魚泳がす枕上

せめて気分だけでも涼しく。

汗の吾子ひたすらにわが眼を追へり

父を見る眼、どうにもしてあげられないもどかしさがある。

夏日灼け死は鉛よりおもかりき

次男は病で亡くなってしまいます。この句集には蛇笏の大粒の涙と絶望が見えるようです。

ちちははをまくらべにして梅雨仏

もう病で苦しむことのなくなった息子を前にして。蛇笏は情の深い人だったと思います。

なにもゐぬ雪水ふかくうごきけり

雪水に命を感じて。

今回は重い句が多かったですね、重さもまた蛇笏の魅力の一つだと思います。

では

ばーい