りゅーたん⑥

2005.7.31 角川書店刊行
「飯田龍太全集 第一巻 俳句Ⅱ」より。

初めて千葉のマザー牧場に行きました。
馬に噛まれそうになったり、羊に舐められたり、牛に舐められたり。

当たり前ですが、牛、馬は人間とは全然違う。大人しくしてくれているだけで、本気を出せば人間なんか四、五人いたって敵わないんだろうなと。でかいし、強い。
今回は牛に結構触れたのですが、牛、可愛いなと、好きになりました。そして馬は思ったよりこわい、ちょっと嫌いになりました…。

あぁ、マザー牧場、また行きたい。牛を、牛を撫でたい…。

『山の木』より。

大鯉の屍見にゆく凍のなか

魚類は死ぬとすごい。

冬深し手に乗る禽の夢を見て

憧れの、手に乗る禽。

返り花風吹くたびに夕日澄み

綺麗な夕方。

朧夜の椅子にひとりの酒仙あり

酔拳の老師のような。

紫蘇もんでゐる老人の地獄耳

実は何でも聞こえて居るぞ。

雪山をはなれてたまる寒の闇

闇もたまる。

かたつむり甲斐も信濃も雨のなか

山国は今日雨の中。

ひとごとのごとき齢も秋の澄み

人生は色々ありつつあっという間。

稲妻や飴舐むごとく薬なめ

晴れの日も稲妻の日も。

白梅のあと紅梅の深空あり

だぞ。

月の夜は好きか嫌ひかなめくぢり

なめくぢり「好き」

夏負けの鏡にうつる村の道

上五の置き方が不思議。もわっと暑いはずだけど、不思議な静かさもある。

秋暑くひとりの音す谷の家

ひとりは居る。

船つくる音のなかなる菊日和

地元に造船所があるのですが、船つくる音って好きですね、大きなものが出来上がるのを見るのは楽しい。

貝こきと噛めば朧の安房の国

貝はこきこき大人の味。

涅槃会の魚透く水にパセリ浮き

不思議な句。あたたかなイメージと、涼しいイメージと。

たのしさとさびしさ隣る滝の音

滝とはそういうものかもしれない。

鉦叩元関取も老後にて

好きな句。闘いの時代と、その老後と。

茸にほへばつつましき故郷あり

山国は茸の国。

きらきらと山羊に小菊がこゑかけて

好きな句。世界がきらきらしている。

冬の雲生後三日の仔牛立つ

仔牛が立ったぁ。子どもは天使だけれども、大きくなる、びっくりするほどなる。

木臼彫る氷柱の村を水迅く

水、お好きですね。

蟷螂の死のまみどりに雪が降る

枯れた色でなく、まみどりなところが。

冬深し古磁器はひとの眼を離れ

見られ過ぎるとものも疲れる。

ますます自在な龍太。
龍太その人は文句のない立派な人物なんでしょうけど、その俳句は立派というより、楽しく、自在なところが魅力かなと。

じゃ

ばーい