りゅーたん⑧

2005.7.31 角川書店刊行
「飯田龍太全集 第一巻 俳句Ⅱ」より。

美味しいものは好きだけれど、見慣れない食べものは好きじゃない。
洋食屋に入るとかなりの割合でハヤシライスを注文する。ちょっとした肉になんかソースがかかった高いやつ、ちょっとした魚らしきものになんかソースがかかっていて白ワインと合うらしいやつも、きっと美味しいに違いないが、こわいので注文しない。

ハヤシライスはカレーライスの親戚であり、美味しく、怖くない僕の好きな食べものである、だからいつもハヤシライスを注文する。

でも、たまには知らない食べものもドキドキして良いかもしれない、そんな時は周りをきょろきょろする。

西洋の食べものや飲みものはまづ敦子さんを見ながら、ほぅ、それはあぁやって食べるのだなと様子を伺う。アジアの食べものは文代さんの様子を伺う、ほほぉ、どうもあれは美味いらしい、と。つまみは直さんが選ぶものが美味いし、日本酒は肖子さんが選ぶものが美味。

たまには冒険も必要なのかもしれない。世の中には美味しいものがたくさんあるのだ、と味噌ラーメンを食べながら思った。

『今昔』より。

呆然としてさはやかに夏の富士

西国で育った僕は今でも富士山を見るとおぉと思う。登戸辺りから見る小さな富士でも、ちょっとそう思う。

野鼠の眼に秋の海秋の風

秋風は鼠にも。

夕闇をつらぬく秋の岬かな

灯が少しある。

山の子が見てゐる秋のみづすまし

秋の涼しさみたいなものがある。

草かげろふのごとく居て良夜かな

ごとく居るのよ。

文化祭シャツを林檎の木に垂らし

気分が若い。

冬深し子を道連れの旅人見え

子連れ旅人。

葱抜くや春の不思議な夢のあと

有名句ですね。まだ少し頭がはっきりしないまま。

しばらくはこころまばゆき山燕

山の字の強さが嬉しい。

涼新た白いごはんの湯気の香も

味噌汁は赤味噌が良い。

日短し五慾のうちの四慾枯れ

何を残すか、何が残るか。

ひとあまたゐてしづかなる冬磧

ふとあの世のような感じもある。

引きよせて初釣りのいま水しぶき

嬉しくって。

大仏にひたすら雪の降る日かな

寒いと言わないけれど、もちろん寒い。

鬼ヤンマ村の酒屋に灯がつきし

きつくて臭くて美味い酒がある。

一月の風吹いてゐる河馬の顔

河馬に吹く清潔な風。

鳥帰るこんにやく村の夕空を

その辺りこんにやく村。

今日はこの辺で

じゃ

ばーい