りゅーたん⑨

2005.7.31 角川書店刊行
「飯田龍太全集 第一巻 俳句Ⅱ」より

青木さんの俳句の講義を聴きに行って、昔の俳人は無茶な飲み方をしたり、酔っ払ったりしていたが、時代と共にそういう俳人は嫌がられ、少なくなりました、という話が忘れられませんでした。

本の中でしか俳人を知らなかった高知時代の僕は、東京に行けば重信のような長髪の人がたくさん居て、時々血を吐きながら洋酒など飲んでいるに違いない、と信じていました。

居酒屋に行けば、波郷みたいな人がグラスを手に立ち上がり、我が鶴の同士よ!みたいな演説をしていると信じていました。

師の前で脚を崩したりすると破門されると信じていたし、東京の俳人は二万句暗記している(岸本さんの伝説)と信じていて、僕は何て記憶力が悪いんだと、俳句をたくさん暗記しようとしていました。

思い込みって恐ろしいなと。

『山の影』より。

水桶の水すぐ流し夜の秋

夜の秋のひんやり感。

死顔に眼鏡ありけり法師蟬

顔の一部です。

岩に手を触れて茸の季とおもふ

これは食えるやつ。

別々の道来て会へる露の寺

あらどうも。

秋天に死を目守りゐる師の眼あり

秋天に今日も蛇笏先生。

神の留守押せど動かぬ大魚にて

さて、どうしようかな。

初夢の濤のとどまるところなし

だだっ広いところ。ただしトイレに行ってから見たい夢。

春風の鷹にむらがる山鴉

寄り別れては襲いつつ。実際あるらしい、鴉ってすごい。

涼風が吹けども山の墓和せず

頑固な墓、いや、墓の中の人か。

水澄める日向に京の女達

きゃっきゃ。

冬が来る湖が逃げ場もなく騒ぎ

湖には意外と波がある。

花スミレ忌日初々しく古び

花スミレほどには覚えていたい。

朧夜や山に隠れし川もまた

川を隠す山もまた。

寺のこと忘れて浜に小鯵釣り

小鯵でも釣って、帰りたい。

幼子の絵文をのぞく雪女郎

どれどれ。

龍の玉升さんと呼ぶ虚子のこゑ

虚子が清になる瞬間。

法螺貝を真近に吹かれ山ざくら

もちろん、びっくりする。

冬の蝶山に束の間焰見え

ちろちろ。

八方に音捨ててゐる冬の瀧

清潔な気持ちよさ。

雪山に虹のをはりのいろしづか

薄くなると静か。

春愁とは湯の沸く音のごときもの

のようなもの。

今日はこの辺で

じゃ

ばーい