白桃を本当にたくさん食べたらしい

2017.3.30 ふらんす堂刊行
関根千方句集『白桃』より。

500回以上やったし、たまには同門の人の句集も紹介してみようと思います。

関根千方さんの句集『白桃』が出ましたので紹介したいなと。

僕は結社に2005年入会で、千方さんは2008年に入会。歳もわりと近い(僕より13上だけど)のでよく飲んだりして遊んでいます。僕が呼び出して一緒に遊ぶ人は、結社では千方さんぐらいしか居ないので、貴重な友だちです。

『白桃』を手にとったらわかりますが、装丁がものすごく凝っています。そう、千方さんはお洒落なのです。

ぼるがで会うと、僕はいつも赤パンツ(内ポケットが破れている)に赤いダウンで緑のマフラー、防水の靴という異様な格好をしているのですが、千方さんは何かお洒落な丸い眼鏡をしていて、なんか良さそうなシャツを着ていて、多分高価な時計をしている。で、ちゃんと着こなしているあたりが素晴らしい。多分、モテる。

店では僕は怪獣のように酒をガバガバ飲んで焼鳥をもぐもぐ食べ、俳句の話をわーわー喚く。千方さんは見た目はお洒落だけれど、意外と人間くさくて、熱く俳句の話をします。シャイな人なので、二三杯飲ませた方が面白くなってきます。

藤田嗣治に似ている気がして、心の中でレオナール千方と呼んでいることを、本人は知らない。

また、ぼるがでも行きたいな。

では句集の中身へ。

短夜や大紫が今ここを

美しい、ついさっき。

大塊の氷かつ切る鋸迅し

頑張っている。鋸の動きが見えるような句。

颱風に吹き飛ばされて韓国へ

来ちゃった。

焼栗のごとし李朝の黒仏

これ好きな句です。つやのある良い色の。

洋梨や夜ごと凸凹増やしつつ

凸と凹。

山椒魚昼寝の国を守りゐる

起こすなよ。

巨峰喰ぶぺしやんこの皮積上げて

こんなに食べたっけと驚く。

泡一つ二つ三つと春動く

何かいるところ。

暗がりの子をのぞきこむ団扇かな

健やか健やか。

横綱にはりついてゐる浴衣かな

好きな句。強い男は品がある。

扇風機しつかりこちら向きたまへ

旧式は言うことをきかない。羽がついていない最近のは、見た目が涼しくない。

こぼれては寒雀またもとの木へ

がさごそ。

ちぎられて水のかけらのレタスかな

ぱりっとみずみずしい。

月暗き熊野の闇を川遊び

あぁ熊野だなぁと喜び。

尻上げて秋の蜥蜴を通しけり

ひょい。

目刺焼くこの甘美なる人生の

華麗に焼く、この目刺。

勝凧にものさみしげな影がある

盛者必衰でござる。

酒樽が金魚の桶とならうとは

金魚は上から見るものよ。

湯上りの人白桃を剥きゐたり

手にかかる甘い汁。

今日はこんなところで

じゃ

ばーい