1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より
口内炎が出来ました。痛い、実に痛い。毎日ビタミン剤を飲んだり蜂蜜を塗ったりしていますが、なかなか治りません。
口内炎が出来ると食べ物の味が半減するし、妙に奥歯でものを噛んで飲み込むように食事をしているので、胃の調子もイマイチ。
たかだか口内炎一個で人間とはこうも弱るか、と精神まで老けそうで、口内炎とは実におそろしい病です。
さ、石鼎の続きです。
啄木鳥や幹をまはれば又見ゆる
幹をの裏にまはる。
障子閉めて間借同士や今朝の秋
襖より、薄い障子。鼻をかんでも聞こえてしまう。
白きもの着て寝し夜より秋の蚊帳
白が夜にぼんやり浮かんで見える。
さはやかに鳴雪翁の高ら声
健やかなる翁。
ランプ釣つて炬燵へだてて友うれし
マブなダチ。
窓前に枯れし大樹や日々にみる
日々にみる、がジワジワくる。枯れし大樹を日々にみて、あと尺八吹いて。
北国の夜の星深しクリスマス
日本も北国ならばサンタさんついでに寄ってくれそうな感じもある。
山宿やくれてすぐ敷く古布団
することもないでね。
稚児達に昼風呂わきぬ花の寺
それが最高に贅沢な時間だとは気づかない、稚児だもん。
谷深く烏の如き蝶見たり
美しく、妖しく、不気味な。
荷をおろす馬にともすや露の秋
馬と灯と露と、美しく。
じゃ、今日はこんなところで。
ばーい