1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。
西巻茅子さんの展覧会に行ってきました。絵本『わたしのワンピース』の人です。『はらぺこあおむし』のエリック・カール展やミッフィー展など、最近は絵本の展覧会が楽しい。
そういえば、子どもの頃に小洒落た絵本を読んでもらった記憶がほとんどないなと。なんだか渋くて絵が可愛くない子ども童話集みたいなのが一冊はあった気がするけれど…。
なんというか、絵本作家は全国の子ども達に読んで欲しいと思って心をこめて描いているに違いないけれど、裕福だったり、センスや教養のある家庭の子はたくさんの良い絵本を与えられてきたのかなぁと羨ましく思ってしまいました。
なんだか幼児、少年時代を取り戻すかのように、絵本を読むと心に沁みます。西巻さんの『えのすきなねこさん』を会場で読んで、わたくし麒麟33歳は涙が流れました。この絵本を少年の頃読んでいたら、どんなに幼き僕を励ましてくれただろうかと。
では石鼎を。
大口をあけて震へる雀の子
世界に小さな雀の子。
大分大きくなつて死んだる雀の子
石鼎の心のショックが伝わる。
がぶがぶと水のむ音や夜の蚊帳
水がうめぇ、水が。
岩へ上る手足細さや水泳着
ひょろっと手足。
夜の地に草の微光や秋の雨
草綺麗、雨綺麗。でも多分ちょっと寒い。
今沈む日のわたり居る落葉哉
を見ている。
門松のややかたむくを直し入る
ちゃんとしたい。
寒鮒の瞳にまたたきもなく売れし
コイキング、いや鮒か。
アメリカの陽炎の話聞く夜かな
へー、アメリカでは、そう。
日を包む雲に光りや牡丹園
黄金の雲。
暮れてなほ浪の蒼さや蚊喰鳥
冨田渓仙の『紙漉き』って作品の水の色がとても綺麗なんですが、なんだか思い出しました。
一度吐きし餌に又よりし金魚の瞳
やっぱりいる。
秋風や皆ぬれてゐる鹿の鼻
つややかな。
虫籠に朱の二筋や昼の窓
久しぶりに有名な句ですかね。虫籠、ちゃんとしたやつは高価なので、販売しているのを見つけると、じろじろ見たり、こっそり触ったりとかします。あれは空でも美しいものです。
草枯の家路へ牛のもうとなく
もうかえろう。
じゃ
ばーい