久しぶりだじょ③

昭和57.9.15角川書店刊行 「杉田久女読本」より。

今年のお盆休みは五日間取れたんですが、うち二日は岡山の黒岩くんが幹事をやっている句会にお邪魔しました。黒岩くんはいつも東京で、楽しく過ごしている(本当は仕事で来てるらしい)陽気な姿しか知らないので、中四国から人を集めて一生懸命に司会をしている姿を見て、あれ、黒岩くん、なかなか偉いやつなんじゃなかろうかと思いました。
彼が美味しいという喫茶店は確かに美味しく白桃ソーダは美味で、彼が美味しいというハンバーグ屋は値段は手ごろなのに美味しい。彼が美味しいと言う何か変なカレー屋はこれまた美味しい。彼はなかなか偉い。そして岡山は美味しいものがたくさんある、岡山後楽園で食べた白桃ソフトクリームも美味しかった、暑くてすぐ溶けはじめたけど…。

岡山には黒岩くんの、関西には久留島くんの銅像を建てて欲しい。あの二人がいるから句会に行こうかと思う人はたくさんいるんじゃないだろうか。

僕は知ってる人としか遊ばないからなかなか友だちが増えないんだろうなぁ…。

では、久女の三回目です。

母の帯巻きつつ語る蚊帳の外

母もきっと美しい人。

蚊帳の中団扇しきりに動きけり

いつまでも、静かに。

水打つて石涼しさや瓜をもむ

絵に描いたように涼しい。

遊女らの涼める前を通りけり

涼しくて美しい人たちの。

夏祭髪を洗つて待ちにけり

キリッとな。

虫干やつなぎ合はせし紐の数

本もたくさん、紐もたくさん。

枕つかみて起上りたる昼寝かな

リアルさが、ちょっと可笑しい。

子らたのし夏痩もせず海に山に

子とは元気。久女のこういう俳句をもっと知られても良いんじゃないかなと。

夕闇の中に蟇這ふけはひかな

のっそのっそ。

ゐもり釣る童の群にわれもゐて

楽しい時間。大人もするわくわくした目

蟬涼しわがよる机大いなる

ひんやりとした机を撫でて。

假名かきうみし子にそらまめをむかせけり

せっせとそら豆そら豆、可愛い。

茄子もぐや天地の秘事をささやく蚊

蚊「あのね、あのね」

久女、色んな句がありますね。今日はここまで。

じゃ

ばーい