2013.5.17ふらんす堂刊行
光部美千代句集『流砂』より
学生の頃、よく遊びに行ってお喋りしていただいたT教授の言葉を思い出しました。
T教授「ギリシャに行ってこれは素晴らしいと思ったワインを日本に持って帰ったら、美味しくないんですねぇ、不思議ですねぇ」
最近、北海道に行く機会があって、そこで飲んだ余市の白ワインがびっくりするぐらい美味しくて、関東に戻って余市のワインを飲んでみたら、あれ、美味しいけど、美味しいけど違うな、この種類だと思ったけど、あれ、うーん。
あの味が忘れられなくて、北海道のワインを買うようになってきました。ただ、北海道のワインは北海道で飲むのが一番美味しいのかもしれません。
余市のワインは毎日飲むにはちょっと高いので、またしばらくすると498円のアルパカの絵のついたワインに戻るかと思います。しかしそれも特別好きなわけではないので、そのうち日本酒に戻るかと思います。最近は「浪の音」をちびちび飲んでいます。
光部美千代さんの句集『流砂』を読んでいきましょう。
閉ぢてなほ瞼つらぬく秋日かな
強めの。句とは関係ないけれど、高知に住んでいた頃は光が矢のように鋭く、痛いぐらいの感じがありました。夏になると誰も日向にはいませんでした。
一升瓶より注ぎくれし寒の水
これなるは寒の水。
紅椿大きな貌の鳥来る
今話題の怖い絵展、モッサのセイレーンの絵がすごく好きでほれぼれと眺めました。
うつくしき玻璃に金魚の全滅す
そして金魚いなくなった。
和蘭陀の飛び出す絵本雪降れり
飛び出す絵本事始。
わが書簡炎天の矢として放つ
一本の矢は痛い。三本あればもっと痛い。
また違ふ雨の降りだす真葛原
人生いろいろ、雨もいろいろ。
春愁すつと立ちたるだけのこと
多くは語らず。
愚図愚図とアジアの雨よ涅槃像
高知だけは例外。
黴の家女に刃物いろいろと
これも刃物、あれもそれも。
階段の途中真冬の日のくわつと
どこか神聖な感じ。
翻車魚といへる涼しきものを喰ふ
昔俳句を作りに一人で伊東に行って、そこで初めて翻車魚を食べました。美味しいとは思わなかったけど、翻車魚食べてると思うとちょっとドキドキしました。
この句集は面白いのであと一回やります。
じゃ
ばーい