鷹羽狩行を修行中③

2017.6.1ふらんす堂刊行
「鷹羽狩行俳句集成」より

別に隠者ぶるつもりは無いけれど、お金をわんさか稼ぎたい、すんごくモテまくりたい、すごい時計や外車が欲しい、豪邸に住みたい、なんてことをほとんど思わない。

バリバリに働いてブランドものを買うことが価値である人が多かった世代の人達からは不思議に見えるみたいだけれど、僕の周りの人達もわりと似たような感じの人が多い気がする。疲れているのわけじゃなくて、何か別な好きなことがあるんじゃないかなと。

それでも一つ年々増してきている欲があって、それが睡眠欲。寝ちゃいけない、寝ちゃいけないと思いながら炬燵で寝てしまう、これがなかなかたまらない。すごく気持ちいいけど起きた時の体の痛みがひどい…。

あと、飲んではいけない時に飲むお酒、やるべきことを多く残したままする昼風呂、そう考えると楽しいことは結構あるかと思う。どれもそんなにお金がかからないところも良い。

鷹羽狩行第三句集「平遠」より。

若菜摘み重ねて籠の透かぬまで

特盛で。

船酔の眼か春雷を聴きし眼か

やばーい、眼、とろんとした眼。

蚊の声を摑みたるあともの言はず

ぁ。

雪渓にありて美貌の際立てり

凛として雪渓。

桃冷したる急流に皮を棄つ

急流へ棄つ。

一滴も見せずに神父葡萄吸ふ

奇跡。

うすものの中より銀の鍵を出す

ガチャリ。重たさまで伝わるような句。

寒灯を点けて島とも岬とも

とにかく寒そうではある。

かぶとむし一糸は鉄の枷以上

ギッシギシ。

鵜飼見る鮎を飽食したる後(のち)

鮎って限界でどれぐらい食べれるんだろうか。

肉食のごと白桃にナイフ・フォーク

刺せばジュルジュル、切ってジュルジュル。

木が枯るる流木の日を夢見ては

夢見る枯木。

虹なにかしきりにこぼす海の上

昔から最も好きな句の一つ。こういうのを見ると、機知の人ではなくて詩情の人だと思う。

舌の先美しければ秋の蛇

ちろちろ。秋がまた美しい。

木の葉髪キリストもかく長かりし

始めにロン毛ありき。

ゆく年のゆくさきのあるごとくゆく

ゆく先にあるちょっと先。

他にも絶対見たことのある有名句がたくさん読めます、良い句集です。

じゃ

ばーい