「金の栞」 神野紗希

望の夜の太鼓の胴のがらんどう
太宰読むプールサイドや秋茜
くるぶしの薔薇のTatooをなめて霧
先生を恋うて桔梗に行き止まる
流星群去って傷だらけの鞄
霧の底毬藻に触れて毬藻在り
聖典の金の栞や鳥渡る