2016年9月29日

薄れてゆく〈手は》(0………. )いまだ(2.. )覚えて(8…….. )いる(3… )《秋の〉野の風の色

自分にとって久しく、故郷、「いなか」というイメージのある土地は栃木県南西部~中部と群馬県南東部だけだったが、この数年でそれに山口県の海沿いの一部が加わった。自分の生まれ育った地域に海はなかったので、寝泊りするところのすぐそばに常に海が、それも静かな遠浅の海があるというのは新鮮な気持ちだった。部屋の前の道がすぐ海に面していて、消波ブロックの隙間には舟虫が何匹か、日を浴びながらのんびりと動いていた。
自分のもともとの故郷の原風景は、日が暮れていこうとしている中、360度見渡す限り刈田もしくは麦を刈ったあとの畑が遠くまで広がっていて、その近くや遠くを大きなトラックやダンプカーがひっきりなしに通り過ぎて行く、というものだったりしたので、それとはまるで違う光景を親しく思えたのはうれしいことだ。