曇天の欅夏蝶放ちけり
かふいふ風に、姉様は目を閉ぢて、坐りこんで不思議の國のことを、半ば信じて考へてゐました。けれども一度目をあけると、凡てが面白味のない此の世のものに、變つてしまふといふことは、知つてゐました。
ルウヰス・カロル『アリス物語』(菊池寛・芥川龍之介共訳、興文社)
曇天の欅夏蝶放ちけり
かふいふ風に、姉様は目を閉ぢて、坐りこんで不思議の國のことを、半ば信じて考へてゐました。けれども一度目をあけると、凡てが面白味のない此の世のものに、變つてしまふといふことは、知つてゐました。
ルウヰス・カロル『アリス物語』(菊池寛・芥川龍之介共訳、興文社)