2016年6月12日

六月のミラーボールに暴かれて

20160612

年に数回だけ、仙台駅近くの地下で行っているDJイベントに行く。クラブと言うとなんだか怪しいけれど、わたしが行くのは小さいクラブハウスの邦楽しばりの健全な集まりである。わたしはここに、ミラーボールを見に行く。はじめてミラーボールを見たとき、こころがぱっと明るくなって、欲しい、と思った。それは小さいころに夜店で“きれいな石のつかみ取り”のプールを見たときと同じきもちだった。tofubeatsや小沢健二や□□□を聞いているうちに、必ずそこのボスみたいな人が「いよっす」と声をかけてくれ、レゲエパンチを奢ってくれる。大きなアンプから、どぅ、どぅ、と振動がして体にまとわりついているよくないものがふるい落とされていくような気がする。ミラーボールのひかりを反射させたレゲエパンチはほんのり苦くておいしい。透明な砂のような音楽を聞きながら身体をゆらゆらさせる。もう一杯飲んだら終電よりも何本も早い地下鉄でおとなしく帰る。もしも、喉を通ったミラーボールのひかりで翌朝身体が発光しだしたらどうしよう。そんなあり得ないことを想像してけらけら笑って眠る。