2016年6月17日

短夜へ凭れるための冷蔵庫

20160617

 一人暮らしをはじめたばかりのころの、ちょっと気合の入った夕飯。真鱈子のこんにゃく炒め、すき焼き風煮、トマトとバルサミコ酢のサラダ、大根とお揚げのお味噌汁。ともだちが全然できないので、すぐに家に帰って夕食をつくるばかりの日々だった。

わたしが一人暮らしをすることになった時、父は「お前にそんなに大きな冷蔵庫は要らん」と言ってわたしが欲しものよりも一回り小さい冷蔵庫に決めた。「一人暮らしじゃどうせ味噌汁も作らん」と言って、一人暮らしの最初の買い出しで味噌のパックを手に取ったわたしのことをばかにした。確かにわたしはかなり気分屋でずぼらなのでそう思われるのも無理はないと思うけれど、せめて冷蔵庫だけはやっぱりもう一回り大きいものにしたかった。
一人暮らしをはじめて数か月後、ひとりでたくさんおかずを作って食べながらふとさみしくなり、どうだ、と見せつけるつもりで父に写真を送った。返信には大量のむかつきマークと「誰と生活しているんだ!」の文字。あはは。残念ながらひとりです。父はいつだってわたしのことが心配なのだな。小さい冷蔵庫も愛らしく思えてくる。