2016年6月22日

てんと虫よ星背負ふほどの罪はなに

20160622

ソフトクリームはあまくてつめたくてえらい、桃のソフトクリームはあまくてつめたくて桃の味がしてえらい。東京から仙台へ帰る高速バスに乗り、途中休憩の福島のサービスエリアで桃のソフトクリームを舐めたとき、これぜんぶ一人で食べていいんだ、と思って、おかしな話だけれど、わたしはそこではじめて失恋を実感した。恋人とはいろんな場所に行った。ごはんを食べに行くお店が決まっていても、サービスエリアではいつもなにか買って食べてしまった。ご当地ソフトがあればふたりでひとつ買って、いつも最初の一口は恋人が、最後の一口はわたしが食べた。
失恋し、思い立って東京に行き、たくさんの会いたかった人に会った。新宿の“どん底”というお店で大好きなお兄さんやお姉さんと話しながら、「玲音ちゃんは十字架をひとつ背負って生きていかなきゃいけないね、十字架を背負うっていうのは一生謝罪するってことじゃなくて、その人のぶんまで胸を張って一生幸せになるってことだよ」と言われ、そういう罰もあるのだなあと頷きながら堪えきれず泣いてしまった。ずっと飲んでみたかったホットバタードラムというお酒は思ったよりもこっくり苦く、あたたかく、あたまを夢みたいにぼんやりとさせるのにちょうどよかった。よしよし、だいじょうぶ、すべてうまくいくよ。とたくさん頭を撫でてもらう。つくづくわたしは素敵なひとばかりに囲まれている、ありがたいなあ。
これからはしばらくソフトクリームを独り占めできるぞ。それなのに、困ったな。最後の一口までがこんなに遠い。