2016年8月16日

天河(あまかは)を溺(おぼ)れたふすや匙(さじ)に箸(はし)

いまはほとんど失ってしまった習慣だが、高校生のころはナイター中継をよく聴いていた。二〇〇〇年前後のことである。僕は阪神ファンではないが、このころ、阪神に坪井智哉選手がいて、その活躍ぶりはファンではない僕にもよくわかった。しかし、どういうわけか僕は坪井選手のことを「壺井」としてイメージしていて、新聞に「壺井」の名がどこにも見当たらず「坪井」だと知ったときには妙にがっかりしたのを覚えている。

またそのころ、やはり阪神に赤星憲広選手がいた。「赤星」はたしか「あかほし」と発音するはずである。しかし僕が受験まっただなかの二〇〇二年の冬にキンモクセイの「二人のアカボシ」という曲がヒットし、ナイター中継の後のラジオ番組でこの曲が流れるたびに、いつしか僕はこの曲を赤星選手の曲だと勝手に想像するようになっていた。だから僕のなかで赤星選手はいまでも「あかぼし」選手である。