旅人はかんたんな色露に溶く
*
幼い頃の自分にとって東京とは、「故郷では売られていないものが並んでいていくらでも吟味して買える街、またそれらを買う人たちが住んでいて交流できる街」だった。書泉ブックマートやイエローサブマリンやプラザエクウスや渋谷HMVに行くとそこにあるものを吸い尽くさんばかりのエネルギーで歩き回り、帰りの電車では体調を悪くしたものだった。東京に住んでいる今その頃のエネルギーでそれらのものを求めているかというと心許ない。
旅人はかんたんな色露に溶く
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幼い頃の自分にとって東京とは、「故郷では売られていないものが並んでいていくらでも吟味して買える街、またそれらを買う人たちが住んでいて交流できる街」だった。書泉ブックマートやイエローサブマリンやプラザエクウスや渋谷HMVに行くとそこにあるものを吸い尽くさんばかりのエネルギーで歩き回り、帰りの電車では体調を悪くしたものだった。東京に住んでいる今その頃のエネルギーでそれらのものを求めているかというと心許ない。