2016年10月20日

その門の先どんぐりの果てしなく 

バックを開けたら拾った覚えのないどんぐりが五つほど入っていた。不思議に思ったけれど、とりあえず机の上に出して出かけた。夜、家に帰って上着のポケットに手をいれたら拾った覚えのないどんぐりが五つほど入っていた。翌日もポケットにバックにと、拾った覚えのないどんぐりが入っていて、それは日に日に増えてゆき、気付いたら蜂蜜の大きな瓶一つ分くらいになっていた。こんなにたくさんのどんぐり食べる訳にもいかない。意を決して山の麓の鬱蒼とした公園へ出かけた。歩きながらどんぐりを一つ二つとこぼしてゆく。一周したころには瓶の中のどんぐりはなくなっていて、最初にこぼしたどんぐりを見つけた。しゃがみ込んでみると、なんと根がでて眼もでている。「あれぇ、おがってる・・・」と、二つ目のどんぐりも三つ目のどんぐりも見ているうちにどんどんと根を出し芽をだした。全部のどんぐりが芽を出したら、きっと私は森につかまって帰れなくなってしまうんじゃないかな。

[おがる]育つ