2016年10月21日

友達の部屋の障子を貼る仕事

映画館を出た時にどっちの方向から来たのかわからなくなってしまうのはどうしてなんだろう。いつもそう。来るときは絶対に間違えないでたどり着けるのに、薄暗いあのロビーの扉を開けて眩しい外へ出ると、どっちに行ったらいいのかわからなくなっている。それである時考えた。映画館に入る前に、帰りに歩いて行く方向の手の甲にボールペンで印をつけたのだ。友達は笑ったけれどこれで絶対大丈夫。何の心配もない。二本立ての映画を観終わり、映画館を出る。手の甲に印をちらっと確かめる。来た方へ歩き出すと友達は「ほお~」と笑った。私は腰に手を当てて立ち止まると「ほらぁ、うまぐいったべ」と顎を上げて見せた。「ごっつりして~」と友達がいう。「ごっつりごっつり~」と二人して声を合せて言うと、大きな声で笑った。その瞬間、見ていた映画よりも楽しいと思っていた。

[ごっつり]自慢気なとか満足気な様子