2016年10月23日

友達の横に菊人形がいる

「しゃっけっ!!」ふいに首の後ろに何かを当てられて思わず首をすくめた。「何っ?!」と振り返ると、氷が入ったビニール袋を持ったアヤちゃんが「ひゃっひゃっひゃっ」と笑って立っている。同時に「何かへったが?!」と声がした。声の方を見るとクラスで一番小柄なヒデが雑巾を握って構えていた。「なんもちゃっけーってへってねえべ。しゃっけぇってへったの!」と言い返す。「やがましじゃ、大女!」ヒデはこっちに雑巾を投げつけると走って行ってしまった。雑巾は私とアヤちゃんの間を抜けて窓ガラスに当たって落ちた。「ちゃっけぇくせに」アヤちゃんは笑いながら雑巾を拾う。アヤちゃんはクラスの女子で一番、私は二番目に背が高かった。

[しゃっけぇ]冷たい
[ちゃっけぇ]小さい
[へる]言う
[やがまし]うるさい