靴からとんぐり次々と現る
エリコはいつも何が入っているのかよくわからない大きなカバンを持っていた。よほど大事な物が入っているのか、絶対に他人に触らせなかった。誰か触ろうとすると「やめろじゃっ！」と言って睨みつけた。学校の帰り道でエリコと一緒になった時、私は思い切っていつも何を持って歩いているのか聞いてみた。するとエリコは意外なほどあっさりと「一人で3日間凌げるサバイバルグッズ」だと教えてくれた。「そったらのたなって歩いてらったのが？！」と驚く私にエリコはごそごそとカバンの中を探ると缶を一つ取り出し「これ、けるすけ」と差し出した。「乾パン。あんまし旨ぐねぇすけ」そう言ってエリコは乾パンの缶を私の手に押し付けると「へばまたね。バイバーイ」と夕焼けの中に走って消えて行った。
[そったらのたなって歩いてらったのが？！]そんなの持って歩いていたのですか。[たなぐ]とは「持つ、持ち上げる」などの意味。
[けるすけ]あげるから