2017年1月5日

この国や鬱のかたちの耳飾り

詩がその周囲に吸引し集積する物の量は愕くべきだ。詩を語ることは、実はそれらの詩を包囲するところのものを語ることである。つまり王様の前で、指先で地面に小さな円を描いて、この円の外の土地を全部頂きとうございますと言った西欧の童話に出てくるあの狡猾な商人に倣うことだ。詩の周辺に押しよせている散文。それがわずかに詩の形成の意味である。それがわかればいい。  小野十三郎『詩論』22