2017年3月3日

どうしても影の整ふ雛かな

無職当時、ある採用担当の人に言われた言葉がずっと心に引っかかっていて、事あるごとに落ち込んだ。自分のブログに当時のことが書かれているので引用する。「「5年後君の同世代の人間はポツポツ出世しだして、部下を持ったり、車や家を買ったりするものもでるかもしれない。一方君のような人間はどんどん落ちぶれ碌な仕事にはつけないだろうね」と言われて、そうだろうなぁと納得してしまったりしていた。今や、その彼女の言った五年後はとうに過ぎたが、半分あたり、半分はずれの生活をしている。結局、その後彼女の予言通り、碌な仕事にはつけなかった。」
東京で仕事を探すにあたって、目標や希望なんてものはなく、あるのは「飛び込み営業はもうしたくない」という気持ちだけだった。そして、自分みたいな第二新卒でも続けられそうな楽な仕事、誰でもできる仕事じゃないと就くことはできないと考えていたし、事実、家族が持てそうな、まともな仕事の求人は面接にすらたどり着けないことが多かった。
そして、やっと、希望の条件を満たす求人が現れ、私はその会社の採用担当に「君のような人材を待っていた」と歓迎され、内定を得たのだった。採用の決め手は、若くて健康で犯罪歴がないことだった。ネズミどころじゃない、こんなのは肉に対する評価だ。しかし、私は即決で、入社を決めた。なんとなく、今までまともな努力をせずにその場しのぎで生きてきた自分に対する、罰みたいな気持ちもないではなかった。