2017年3月13日

蝶々の噴き出し口と書いてあり

子供の名前は夫婦共々悩みに悩んで、様々な候補を上げては下げ、吟味に吟味を重ねたが、結局これといったものが決まらないまま、妻は破水し、そのまま入院した。ものすごく暑い日だった。
妻の場合、破水してもすぐに生まれるというわけではないようで、少し話す時間を持つことができた。そこで、そのとき生まれた時の赤ちゃんの顔を見てから決めよう、決まるまでは胎児ネームであるところの「ぽこちゃん」で押し通そうということが決まった。

斯くして、子供は無事生まれ、私と妻は赤ん坊の顔を見てすぐに「覚(さとる)」と名付けた。不思議なことに全くもって覚としかいいようのない顔をしていたのだった。覚という名は、妊娠したばかりの妻が名前の候補として一番初めに提案したものだった。
覚は今では三歳となり、今でも覚としか言いようのない存在のままである。