2017年4月25日

曲水やピッチャーは築山に立ち

長いあいだ俳句関連の集まりでは自分が最年少になることが多かったが、年下の俳人も徐々に増えた。『無敵の俳句生活』を作った俳筋力の会のメンバーが集まって句会を行なったとき、如月真菜氏につれられて神野紗希氏がやってきたのが、俳句甲子園経験者に遭遇した最初である。谷雄介氏がリーダーをつとめたTHCというグループの句会に参加したときには、私がほぼ最年長になり、その状況はとても新鮮で楽しかった。俳句甲子園を経験した俳人と交流することも徐々に多くなったが、ごく最近まで俳句甲子園そのものにはほとんど関心がなかった。
2015年秋に模擬試合で審判をすることになり、私はあわててルールを学んだ。模擬とはいえ判定を下すことには、常に自分がそこにいる意義を問われ続けるような厳しさがある。俳句に関わってきた年数は生徒たちより長いものの、私は彼らのようにチームでの勝敗を競う真剣勝負の場に立ったことなどないのである。しかし、自分自身の偽りのない姿をさらして彼らと対峙するよりほかないという覚悟だけは、依頼を引き受けた時点で決めてはいた。
句会というフラットな場ではなく、選手と審判という力関係のもとで作品とディベート内容に点数をつけ、優劣を判定することには、問題がないわけではないと思う。しかし、関係者の多くがその問題を承知したうえで、競技の推進力に価値を認めているのだとわかった。