2017年7月11日

空想はうさぎを顔に乗せてから

小学校低学年のときは、とても規則正しい生活をしていて、目覚ましをかけなくても、朝7時に起きていた。土日も自然と早起きしていて、月に一度、地区の廃品回収に参加していた。台車に乗ってキックボードのように進めるんじゃないかと思って試してみると、ぐるんと回転してしまった。小学校3年生までは土曜日に授業があって『星のカービィ』(2001~2003,原作 任天堂、ハル研究所,TBS)を見てから、登校していた。年に一度、日曜日には日曜参観があって、風船に手紙を結んで、みんなで空に飛ばした。色とりどりの風船が空に浮かぶ様子には現実味がなかったが、学年でひとりだけ手紙の返事が来た子がいたから、現実だったのだろう。揚羽蝶を幼虫から育てていて、ほとんどは蛹のうちに固まったまま死んでしまう。一匹だけが蝶になることができて、担任の先生の提案でクラスみんなでグラウンドに出て、蝶を放した。秋になると、下校中に金木犀の花を拾い集めて、メロンのかたちのシャーベットの容器に入れていた。神戸の中華街に連れてって貰った日に父に「ここは中国や」と言われたので、翌日同級生に「昨日中国に行った」と話をした。20時~21時のあいだはお風呂に入っていたため『笑う犬』(1998~2003,フジテレビ)を最初から最後まで見たことがなかった。番組内のコントの、はっぱ隊がすきだった。股間を葉っぱで隠し「葉っぱ一枚あればいい」と歌い踊るはっぱ隊に誘われたベッキーさんが「私は葉っぱ3枚要ります」と言っていて、あほな子どもだったため、どういう意味かわかっていなかった。夜眠ることを、起きていたほうが楽しいのに、もったいないと思っていた。夏休みに母の実家に行くと眠れなくて、みんな寝ているのに暗闇のなかひとり起きていることが怖くて泣いていた。泣くと目が冴えて余計に眠れなくなる。ガラスの外れた掛け時計の針を直接触って時間を確かめ、夜中の3時であることを知って、また怖くなった。そうこうしているうちに眠った。

『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014,原作 西加奈子,脚本 伊藤ちひろ,監督 行定勲)を観ると、小学3年生の頃を思い出す。大阪の団地に暮らすこっこは、小学3年生で姉は三つ子で家には円卓がある。眼帯に憧れていたり、ちょっと天邪鬼な性格がかわいい。

大人になってわかったこともたくさんあるけど、わからないことも多い。『ハッチポッチステーション』(1995~2005,NHK)に出ていたグッチ裕三さんはグッチさんだったこけど、『まちかどド・レ・ミ』(1996~2003,NHK)のパパイヤ鈴木さんがビーボさんだったのは、未だにわからない。

童心は忘れちゃいけない。詩人なら、なおさらである。わからないことにわくわくして、しらないことにどきどきして、俳句を作りたい。