2017年7月14日

閉ざされた襖に歌留多刺さりけり

中学生が高校に来るオープンキャンパスの説明会のあとは、部活動体験があった。俳句短歌同好会は、文芸部と能学部と同じ部屋で中学生を待つことになった。待機するのは、能学部の部室で、床に畳が敷き詰められ、巨大な松の絵が立てかけられていて、なかなか雰囲気がある。中学生が来なくて、暇を持て余していると、誰かが百人一首のかるたを見つけた。ひとつ上の先輩の代まで、1年生の学年行事で、冬の体育館で、クラス対抗かるた大会をしていたらしい。そのときのかるたが出てきたのだろうか。私たちは、かるたをすることになった。中学生は、来なかった。

アニメ『ちはやふる』(2011~2013,原作 末次由紀,日本テレビ)の影響で、大学4回生のときに、近江神宮に行ったことがある。その日は、2講目のゼミを受けたあと、同じゼミの子に午後の講義がないことを聞き、かるたの聖地、近江神宮に行くことを決めた。大学は滋賀県のキャンパスで、案外近かった。長い階段の頂上の近江神宮は、ぱきっと朱く、神々しさがあった。大学生の頃は、今よりも時間があって自由だった。

映画『ちはやふる』(2016, 脚本・監督 小泉徳宏)は、上の句と下の句の前後編になっている。上の句のほうが好みで、下の句はすっきり終わっていなくて、続編を作るつもりなんだろうな、と思った。上の句を観たあと母に「高校でかるた部を作って、大会に出るには部員を5人集めないとあかんくて、地方の大会を優勝して、全国を目指す」とざっくりとした内容を言うと「俳句(甲子園)と一緒やん」と言われた。確かに、俳句甲子園に出ていたときを思い出して泣ける場面がある。
映画館に行くと原作の1話の試し読みの冊子が置いてあって、持ち帰った。かるたの名人になるのが夢だという小学生の綿谷新は、千早に「日本で一番になったら世界で一番ってことやろう?」と言う。俳句もそうだと思っている。

先輩の黒岩徳将さん(かっこいい)の家に行くと『ちはやふる』(2008~,講談社)の原作漫画が全巻揃っている。一気に読んでみたい。時間がほしい。