2017年7月27日

彗星のうわさココアは鍋のなか

ムーミンはカバではない。ムーミントロールである。カバ扱いされると、ムーミンパパが怒るので、カバと言ってはいけない。

大学2回生の4月、サンテレビで『楽しいムーミン一家』(1990~1991, 原作 トーベ・ヤンソン、ラルス・ヤンソン,監督 斎藤博,テレビ東京)の再放送が始まった。月曜から金曜まで毎朝放送されていた。母に「ムーミンやってるよ」と教えてもらい、見てみると、絵本のような絵柄が可愛らしく、内容は案外シュールで、新鮮で面白く感じた。それから、毎日録画をして、大学から帰ってきてから、ムーミンを見ながら腹筋をする生活が始まった。
スナフキンの声優を務めた子安武人さんは、この頃20代前半の新人声優で、最初は少し棒読みに感じたけど、だんだんやさしい声になっていった。『楽しいムーミン一家』のスナフキンは煙草を吸わず、ムーミンより少し年上の少年という印象を受けた。ムーミン谷が平和で、警察の仕事がなくなってしまい、署長さんがクビになるのを防ぐために「ムーミン谷を犯罪でいっぱいにしよう」とムーミンたちに提案をしたり、姉のミイにデートに誘われて、びっくりして川に落ちたりする。普段はクールなスナフキンのキャラ崩壊とも言える言動がたまにあり、面白かった。
『楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星』(1992, 原作 トーベ・ヤンソン、ラルス・ヤンソン, 脚本 宮崎晃,監督 斎藤博)は『楽しいムーミン一家』の劇場版であり、『楽しいムーミン一家』が始まる前の物語である。スナフキンやフローレン(スノークのおじょうさん)との最初の出会いが描かれる。ここでもスナフキンはキャラ崩壊している。アンゴスツーラという恐ろしい植物に襲われたとき、やたらとノリノリでめちゃくちゃな悪口を言う。そして、ムーミンがナイフでアンゴスツーラをブチブチに切ってゆき、アンゴスツーラが可哀想に思える。

『楽しいムーミン一家』には、やさしい気持ちになれたり、感動するお話もある。ホラー回もある。けど、まずは、面白いということを伝えたい。