2017年9月17日

死亡推定時刻のすごい桃を剝ぐ

●漢字のふしぎ●

漢字を面白さを知るきっかけは人によっていろいろでしょう。わたしの場合、コペルニクス的ホニャララの次元で衝撃だったのは白川静『漢字の世界』(東洋文庫)でした。ほとばしるような彼の情熱を目のあたりにすると、思わずわたしも馬歩(理解できない人はググって@中澤系)をはじめてしまいます。ただならぬ情熱が一気に感染するらしく。

で、あともう一冊がフランソワ・チェンの『中国の詩的書法』。この本はですね、漢詩の内側で漢字がどのような機能を果たしているのかを、ABC的次元で語っている、漢詩読みの必読書です。とくに漢字の〈かたち〉が詩の内容に及ぼす効果について解説する序文は、日本語で書かれた漢詩の本を長いこと読んでも知るに至らなかった、しかし最高にファンダメンタルな要点が書いてあります。

漢詩は吟じる詩、とよく言われますが、詩人達による漢字の〈かたち〉との格闘はそれに勝るとも劣らなかった。例を知りたいという方は、拙著『フラワーズ・カンフー』所収「出アバラヤ記」に出てくる王維「木末芙蓉花」の解説をご覧下さい。