2017年11月4日

背景になりたし又は案山子にでも

1674 年 11 月 4 日(延宝 2 年 10 月 7 日)、江戸時代の絵師、狩野探幽が亡くなった。彼は十代でその才能を幕府に認められ、御用絵師となった。彼は狩野派の伝統的な技法、力強い作風を保持しつつ、余白を活かした構図を 取り入れるなど独自の境地を開いて行った。

背景のなき向日葵や爆心地 東影喜子『第十五回俳句甲子園公式作品集』

何も無いというのは恐ろしいことでもある。空白を恐れて細部まで描き込む画家もいる。

カンバスの余白八月十五日 神野紗希『星の地図』

そういえば、句集というものは余白が多い。とても贅沢に紙を使っている。句よりも大事なのは余白の並べ方ではないかと思ったりもする。その余白に我々は何を見るか。句集の余白に自由に絵を描くコンテストなんかも面白そうだ。

放課後のガールズトークさくらんぼ 鍋谷美月『17 音の青春 2017 五七五で綴る高校生のメッセージ』

BGM になってしまいそうな友人同士の話にもヒントは多い。本人から伝えられた本人に関する情報よりも、第三者から伝えられた本人に関する情報の方が、信頼性を増し影響力が大きくなることがある。これは「ウィンザ ー効果」と呼ばれている。

だから、意中の相手に自分から伝える前に、共通の友人を通して「あの人はけっこう親切でいい人よ」等と自分のいいところを相手に話してもらうと好感度アップに繋がると言われる。同じ俳句部の二人、同じ句会で顔を合わせる二人ならこれは可能かもしれない。SNS 等も発達した今、様々な形でこのウィンザー効果は有効活用され ているのではないかと思う。

私の場合、そんな「友人」すらいない。いつまでも背景に一人ぼっちだ。こんな思いをするのは私だけでいい。