冬に入るひとりぼつちをそのままに
最近、ブランコに乗っていない。
滑り台も滑っていない。
もう30歳なんだから当たり前だ。
ひとり遊びなれし子のシャボン玉 渥美清『風天 渥美清のうた』
昔から変わらずあの場所にあるはずのブランコ、滑り台。
私はブランコや滑り台を覚えているが、ブランコや滑り台は私のことを覚えているだろうか。
文字は手を覚えてゐたり花の昼 鴇田智哉『こゑふたつ』
幼い頃、あの公園で一緒に遊んだ彼女は、私のことを忘れているだろう。
私も、彼女の顔をもう思い出せない。
ただ、あの公園で刺された蜂の顔だけは、今でもありありと覚えている。