2017年11月15日

凍星を瞳の奥に散らしけり

1630年11月15日、ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが亡くなった。彼は惑星の運動に関する「ケプラーの法則」を唱えた。

動く銀河にときどき波である寺院 田島健一  スピカ「ツィンバルカの下唇を侮ってはならない」

ケプラーの法則によると、惑星は太陽を焦点とする楕円軌道を周回しているとされる。周回というと、惑星はただひたすら同じところをぐるぐる周っているように思えるが、実際は刻々と宇宙は変わり続けていて、一周一周違う景色を見ているのではないか。「動く銀河」に反応して、寺院もまた、ときどき波となりさざめく。

ひんやりと斬る彗星の尾を曳いて 小津夜景 スピカ「かたちと暮らす」

物理や天文に詳しくない私は、宮沢賢治の「双子の星」や「星めぐりの歌」を思い出す。双子の童子が笛を吹いて、星達は星めぐりの歌に合わせて巡り出す。この夜空のどこかにも、ときどきいたずらな彗星が現れたりしているはずだ。

冬青空宇宙飛行士みな短髪 高柳克弘『寒林』

ファンタジーに、サイエンスに、少しづつ宇宙は変化しながら、我々の宇宙への好奇心をインフレーションさせていく。宇宙規模で詠むことも、きっと不易流行のひとつ。