2017年11月22日

道標にも虫時雨にも日暮

2004年11月22日、名古屋弁ラッパー、TOKONA-Xが若くして亡くなった。満26歳。
昨今のヒップホップブームに俄かに乗っかって、先日は街の若者ラッパーの集まり、サイファーに入れてもらってきた。

圧縮音源二万曲手に冬の星 トオイダイスケ(『天の川銀河発電所』より)

iPhoneから流れる曲に合わせて、参加者全員で順番に即興のラップをする。
私が普段は俳句をやっている30歳のおじさんだと言ったら、若者達は面白がってくれた。
「ヒップホップと俳句って、けっこう合って面白いんじゃないですか」と言ってくれた。

すでに音楽と思ふ言葉や霜柱 村越敦(『天の川銀河発電所』より)

「正岡子規」や「咳をしてもひとり」をサンプリングしてくれるつわものもいた。
私も「冬の”夜”、魔物が背後に忍び”寄る”」なんて風に滑舌悪くアンサーを返した。
「俳句ってそういう風に、何かに掛かっていればいいんですか?」なんて訊いてくれた人もいた。
「いや、ラップにしたかったから。本来はもっと自由でいいよ」と答えておいた。

虫の音や私も入れて私たち 野口る理『しやりり』

何かがつながった、瞬間だった。