2017年11月27日

残り雪昨日の夢を見てをりぬ

まだ肌寒い、春の雪の残る夜のこと。
夜中に、亡くなった父が家に帰って来た夢を見た。

そつなくてせつない 雪のすこし在る 佐藤智子(『天の川銀河発電所』より)

真夜中、私が自分の部屋で寝ていると、父が私の部屋の前を通ったような気配がした。
私は思いきって父に声をかけた。
父は私の部屋の扉を開けて、顔を覗かせて何か話していたように思う。
どこの国かはわからないが、「外国へ行ってくる」と言っていたことだけは覚えている。
朝になって目が覚めて、もう一度家の中を見回してみたが、やはり父が居た痕跡はなかった。

竹馬に乗りたる父や何処まで行く 榮猿丸『点滅』

人は死後も旅をするのだろうか。
父は今、どこで何をしているんだろうか。
生きている間には行けなかった場所に、行ってみたくなったりするのだろうか。
好きだったバイクに乗ったり、魚釣りをしたり、山で焚火をしていたりするのだろうか。

また、いつでも帰ってきてほしい。