2017年12月18日

白息のおほいなる君悩むなよ

「サンドイッチの年」という映画がある。1988年公開のフランス映画だ。舞台は1947年のパリ。両親を収容所に連れ去られ、天涯孤独となった15歳のユダヤ人の少年が主人公。古物商の店先に貼ってあった求人募集をみて、同じユダヤ人の老店主に頼み込み働き出す。基本的にはパリで出会った同い年の金持ちの少年との友情の物語なのだが、父親代わりとなる偏屈で皮肉屋の老店主マックスじいさんの存在が映画に奥行きと陰翳を、ユーモアと苦みをあたえていてすばらしい。家族の物語でもあるのだ。「悩みのない奴は人を悩ます」など、じいさんの痛快な台詞がぽんぽんと出てくるが、ラストで失意の少年に語る「サンドイッチの年」の話がとにかく胸に沁みる。泣ける…と、ながなが書いてしまったのは、DVD化されていないからである!名作なのに!