留守番の淋しさ洗濯物へ北風  星野石雀

留守番の淋しさを、「洗濯物へ北風」という具体的な景色によって、体感できるものとしている。
吹き付ける北風が、まだ濡れている洗濯物を、ずんずん冷たくしていく。触れてはおらず、ただ見ているだけなのに、その洗濯物の冷たさが、身にべったりと張り付いてくるような感覚をおぼえる。洗濯物をぼーっと見つめるしかやることがない手持無沙汰。留守番だから、時を経ず家族は帰ってくるはずなのだが、だからこそだろうか、今の孤独が身に染みる。せめて青空があればよいのだが、この句の一日は、なんとなく、ぼんやりとうす曇りのような気がする。

「鷹」2016年5月号より。