つぷつぷと毛羽立つ使ひ捨てマスク  野口る理

毛羽立ちがつぷつぷと表現されるということに、少し驚く。毛羽立ちが短く、少しざらついた印象を持つ。擬音の使い方は個性が出るなと思う。

ぎつしりと秋雨を吸ひぬいぐるみ  「九月」より

そう、雨をぎっしりと吸うという感覚もる理独自のものだ。「ぎっしりと」は水分の時に使うことはないが、こうして使われているのを見ると、その密度を思わせる。細やかな秋雨だからこそ、ぎっしりとぬいぐるみに詰まることができるのだ。

2017年2月1日「風へ風」より