人に睦む象よ林檎を知りてより  野口る理

林檎と言えば、アダムとイブの禁断の果実だ。「よ」で切れることから、林檎という果実を知ったのは人だということがわかる。象は人が知恵をつけるずっと前から知恵があり、人が林檎を得たことで仲間に入れてくれたのだ。
動物園の象が林檎を餌係から貰っている光景なのだろうが、前文のようなことを想像すると、それが皮肉に思えてくる。

2016年11月「林檎」より