八月や窓に残れる額の脂  野口る理

階下を見下ろしていたのだろう。窓のひやりとした感じが暑さに心地よかったのか、ぴったりと額を付けていたことがわかる。そのくっきりと残る額の脂に、窓を拭かねばという面倒な気持ちよりも吹き出してしまう滑稽さが見える。

2016年8月「八月」より