子の喉をプリンの通る秋の風  江渡華子

子どもの口に入れて見えなくなったあとのプリンの存在を忘れずに、喉を落ちてゆくプリンを想像する親は、相当変わっている。この世界のなまなましさに触れるやり方として、子どもという、私から分かれた他者の身体を通して感知するという方法もあるのか、なるほど。

子の可愛さ、喉のなまなましさ、プリンの甘さ明るさ、秋の風のむなしさ。感情が交錯して交錯して、最終的に無色透明になる感じ、とても心地がいい。

2016年10月「ぴよん」より。