薔薇の萼するどくやはらかく さはる  野口る理

薔薇の萼の先端は鋭い。しかし、滑らかにカーブを描いていることから、柔らかさも見える。その柔らかさを信じて触れるのだ。「さはる」の前に空白をおくことで、躊躇いなどの思考も見える。だが結局、彼女はその世界に飛び込むのだ。

2016年5月「巴芹騒」より