てふてふのひらがなめいてとどまりぬ  牛田大貴

すべてひらがなで書かれた、ひらがなのことを詠んだ俳句。
蝶々が、まるで平仮名めいていて、そのままとどまっている。
とどまって、そのまま、平仮名そのものになってしまったような、
ひらがなの起源をロマンチックに語ってくれているような、そんな抒情の一句。

「とどまりぬ」の下五がポイント。
詩では飛び去ることの多い蝶が、そこにとどまったことによる、不思議な存在感に魅惑される。

名古屋中学校・高等学校文学部 句集「野郎共」第1号(2017年4月)より。