こたつから出ずにできる飯で検索  葛城蓮士

冬の季語こたつが、怠惰の象徴として、現代生活に置かれるリアル。このあふれるニート感、モラトリアム感。とりあえず、スマホで検索かけてみる、日常感。
こたつから出ずにできる飯なんかあるかよ、と突っ込みたくなるレベルの怠惰。振り切れていていい。
同句集から

よく学びたっぷり働け死ねメーデー
十円のためにしゃがんだときすずし
真ん中の栗の平たさ生きづらさ

あたり、現代版プロレタリア俳句になり得る。
ああ、たしかに、毬の中に三つ入った栗の、真ん中の奴、平たいよなあ。生きづらいよなあ。と、満員電車に圧迫されながら、ふと思い出す栗の句など。

『少年レンズ』葛城蓮士(2017年)より。